菊地裕介ピアノリサイタル2018・春 アリア〜フォリア〜そしてアリア

コレルリを通じて出会う2つの傑作変奏曲

 若葉萌える5月、菊地裕介が時空を隔てた2つの「変奏曲」で勝負する。片や、ロシア出身のラフマニノフがアメリカで書いた「コレルリの主題による変奏曲」。片や、生涯ドイツを出ることのなかったJ.S.バッハの「ゴルトベルク変奏曲」。両変奏曲の作曲年は200年近くも離れているが、前者はバッハにも影響を与えたバロックの巨匠コレルリのソナタの終楽章「ラ・フォリア」から主題をとっているので、両者には目に見えない繋がりがある。菊地は以前、「B-A-C-H」と題したCDアルバムにラフマニノフ編曲のバッハ作品を収録して、ラフマニノフによるバッハへのオマージュを明らかにしたが、今回もその視点は貫かれている。さらに、菊地自身からの両巨匠への尊崇の念が、彼の精緻な音楽の分析力と堅固な構成力、鮮やかなテクニックによって付加されるだろう。ラフマニノフでは、単純なテーマの複雑な変貌と名人芸が、バッハでは、30もの変奏の旅を終えたアリアとの再会が聴きどころとなる。
文:萩谷由喜子
(ぶらあぼ2018年5月号より)

2018.5/12(土)14:00 東京文化会館(小)
問:株式会社 演 03-4405-8474 
http://ykpianoforte.com/
2018.5/20(日)14:00 ア ピアチェーレin 豊田
問:090-4233-3445(吉田)
http://a-piacere.jp/