東京オペラシティ B→C ウェールズ弦楽四重奏団

シリーズの壮大なテーマを感じさせるプログラミング

C)Satoshi Oono

 「バッハからコンテンポラリーへ」とテーマを掲げ、若き実力派日本人奏者たちがバッハから広がる無限のイメージと多彩な現代作を紹介してきた、東京オペラシティの「B→C」シリーズが、ついに200回目を迎える。その節目の出演者はウェールズ弦楽四重奏団。2006年結成、08年にはミュンヘンARD国際音楽コンクール第3位受賞。精密かつ誠実な音楽づくりで評価と人気を獲得し、いまや若手団体の代表的存在である。
 前半は彼らが“弦楽四重奏の歴史の出発点の一つ”と語るハイドンの第1番「狩」から、ウェーベルン「6つのバガテル」の無調の世界、“雅楽に通じる美を感じる”猿谷紀郎の「アイテールの貪欲」へ。後半は“ロマン派への扉”シューベルトの第12番(断章)に、 “弦楽四重奏によって編曲なしで演奏可能な唯一のバッハ作品”「フーガの技法」より最初の4曲。最後は10年作の藤倉大の第2番「フレア」。“キャンプファイヤーを囲んで座り、炎が空に昇る様子を見ている”という楽しいイメージながら、“超”の付く難曲だ。バッハから現代の到達点まで一気に体感できるプログラムで、「B→C」の壮大なテーマを改めて噛みしめたい。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2018年3月号より)

2018.3/13(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
http://www.operacity.jp/