東京シティ・バレエ団創立50周年記念公演『白鳥の湖』 〜大いなる愛の讃歌〜

いまよみがえる藤田嗣治の幻の『白鳥の湖』


 来年3月、都民芸術フェスティバル参加公演として上演される東京シティ・バレエ団『白鳥の湖』が大反響を呼んでいる。まず注目は、エコール・ド・パリを代表する藤田嗣治(レオナール・フジタ)がデザインした幻の舞台美術が70年ぶりに蘇ること。折しも、2018年は同バレエ団創立50周年とフジタ没後50年の節目の年となる。
 日本で初めてチャイコフスキーの『白鳥の湖』全幕が上演されたのは、終戦直後の1946(昭和21)年8月の帝国劇場。振付は小牧正英、出演は東京バレエ團(現在のチャイコフスキー記念東京バレエ団とは別の団体)。公演は空前の成功を収め、22回のロングランを達成。この時、舞台美術を手がけたのが藤田で、西欧的な洗練されたデザインが評判を呼んだ。しかし当時は物資が乏しく草案通りではなかった。今回は草案に基づいて復元されるのが画期的。
 演奏は、我が国が世界に誇る大野和士が都響を率いてピットに入る。大野は同バレエ団芸術監督の安達悦子と小学校の同級生という縁でこれまでにも同バレエ団と共演してきたが、今回全幕バレエを指揮、スケールの大きな演奏が期待される。主役のオデット/オディールと王子も豪華。ベルリン国立バレエ団プリンシパルのヤーナ・サレンコとディヌ・タマズラカル(3/3,3/6)を客演に迎え、中森理恵とキム・セジョン(3/4)との2組の共演となる。演出・振付はバレエ団創立メンバーの石田種生で、特に第4幕の美しさは絶品。総合芸術としてのバレエに新たな光を当てることだろう。
文:渡辺真弓
(ぶらあぼ2018年1月号より)

2018.3/3(土)〜3/6(火)東京文化会館
問:東京シティ・バレエ団03-5638-2720
http://www.tokyocityballet.org/