新しいアプローチで「第九」の未知なる魅力を引き出す
*鈴木秀美は健康上の理由により出演が出来なくなりました。12月15日の「演奏とレクチャーで迫る 交響曲第9番とその周辺」は中止となりました。12月22日の特別演奏会「第九」は指揮者が鈴木優人に変更となります。詳細は下記URLでご確認ください。
http://www.kanaphil.or.jp/PressRelease/press_release_detail.php?id=1507
何度も聴いて知っていると思っていた曲であるのに、新鮮な(ときに斬新な)演奏によってさらに新しい姿を見せ、驚きを与えてくれるのは心地よいことだ。ベートーヴェンの「第九」交響曲で、そうした発見の喜びを得たい方は、鈴木秀美の指揮による神奈川フィルの「第九」を聴き逃してはならない。チェリストとして18世紀オーケストラをはじめとするさまざまな楽団でこの曲を演奏し、さらには指揮者としてベートーヴェンの交響曲や「ミサ・ソレムニス(荘厳ミサ曲)」などを手掛けてきた経験と知識が、この公演に集約されるはずなのだ。
「実はプロのオーケストラを指揮して『第九』を演奏するのは、今回が初めてです。神奈川フィルとはこれまで第5番『運命』や第6番『田園』などをご一緒しましたが、こちらが提案する新しい演奏のアイディアにも面白がってくれますし興味を持って反応して下さいましたので、今回も新鮮な驚きをお客様に感じていただけるでしょう。曲の中にはベートーヴェンよりも古い時代の音楽、たとえばガンバ・コンソート(ヴィオラ・ダ・ガンバのアンサンブル)のように聞こえる部分もあり、そうした特徴のある響きをお客様に伝わるよう演奏してみたいと思っています」
さらには「第九」作曲の直前に生まれた大作、「ミサ・ソレムニス」との関係についても言及。この曲を指揮した経験が「第九」の作品観を変えたという。
「『ミサ・ソレムニス』は格段に演奏が難しく、余りにも斬新で理解の難しい部分もあります。『第九』はもちろん特別な作品であり、必要以上に神聖視したり崇められたりすることもありますが、壮大な『ミサ・ソレムニス』を知ることで『第九』はもっと身近な存在に感じられますし、言わばシンプルな作品だとも気づかされます。そうしたことを今回の演奏にも生かしたく、年末恒例の行事として華やかに演奏されることも多い『第九』ですが、もう一度この曲をお客様と一緒に考え直すようなコンサートにしたいと思います」
そうした鈴木の意図をもっと知りたいという方は、公演の1週間前(12/15)に神奈川県立音楽堂で行われる『演奏とレクチャーで迫る 交響曲第9番とその周辺』で、ぜひ予習を。「第九」「ミサ・ソレムニス」の抜粋、同時期に作られた弦楽四重奏曲やピアノ作品などを聴きながら、「第九」の背景やベートーヴェンの心境などを探るというプログラムだ。本公演ともども、今年の神奈川フィル「第九」公演は“発見”の宝庫になるだろう。
取材・文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ2017年10月号より)
鈴木秀美(指揮) 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 特別演奏会「第九」
2017.12/22(金)19:00 横浜みなとみらいホール
演奏とレクチャーで迫る 交響曲第9番とその周辺
2017.12/15(金)19:00 神奈川県立音楽堂
問:神奈川フィル・チケットサービス045-226-5107
http://www.kanaphil.or.jp/