高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団「第九」

今年は颯爽としたアプローチの「第九」をじっくり味わう


 東京シティ・フィルの今年の「第九」を振るのは、常任指揮者の高関健。高関は2015年に東京シティ・フィルの常任指揮者に就任すると、演奏水準を著しく向上させたように思われる。そのうえ、実力あるプレイヤーたちを新たに加え(たとえば第2ヴァイオリン首席奏者:桐原宗生、客員首席チェロ奏者:大友肇、首席フルート奏者:竹山愛、首席トランペット奏者:松木亜希など)、ますます上昇気流にある。
 高関は常に楽譜を忠実に再現しようと心がける。「第九」でも楽譜に書かれた速めのテンポを採り、音を短めに切って、歯切れの良い表現をする。高関の演奏を聴くと、これこそまさにベートーヴェンが求めていた「第九」ではないかと思う。合唱は東京シティ・フィル・コーア。高関は、東京シティ・フィルの常任指揮者に就任して以来、彼らを積極的に起用し、ドヴォルザークの「レクイエム」、ベルリオーズの「ファウストの劫罰」、ハイドンの「天地創造」などの大作で共演を重ねてきた。高関と同合唱団の共同作業の成果は、今回の「第九」でも聴くことができるだろう。また、小林沙羅、坂本朱、与儀巧、与那城敬という4名の独唱陣も楽しみ。
 演奏会の前半には、2016年日本管打楽器コンクール・クラリネット部門第1位の中舘壮志がフランセのクラリネット協奏曲を吹く。こちらは新しい才能に巡り合えるチャンスだ。
文:山田治生
(ぶらあぼ2017年12月号より)

2017.12/28(木)19:00 東京文化会館
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 
http://www.cityphil.jp/