今年も名手が集結! 最高の音楽を松本で聴く
「サイトウ・キネン・フェスティバル」から衣替えした「セイジ・オザワ 松本フェスティバル」(OMF)は今年で3回目。世界各地から結集した名手たちが今回も妙技を披露する。サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)による3つのオーケストラコンサート、小澤征爾音楽塾オーケストラによるラヴェルのオペラ《子どもと魔法》に加え、小澤とベートーヴェン(ピアノ協奏曲第3番)で競演する内田光子がソロ・リサイタルを開くのも要注目だ。他にも室内楽や子供・一般市民向けの催しなど、街を挙げての盛りだくさんの内容となっている。
小澤と深い絆で結ばれたSKOは棒の先を読んで音楽を運んで行ってしまう超絶オーケストラで、現在の小澤の凄みも彼らがいればこそ。
そんなSKO、緻密なタクトさばきで炎のように熱い演奏を繰り広げるファビオ・ルイージとも、近年は名演を連発している。ルイージは2014年以来、毎年松本の地を訪れていて、4年連続で同じ指揮者の客演は、SKO・OMF史上初めてのことだ。今年も3つのオーケストラコンサートの先陣を切って登場する(8/18,8/20)。
プログラムがマーラーの交響曲第9番というのも心躍る。両者は昨年は「復活」、一昨年は「5番」とマーラーを継続して取り上げている。先だって4月のN響定期で披露した「巨人」でも、ルイージはオーケストラをダイナミックに煽りながら壮大な波動を作り上げた。ライヴ感満点で、まさに聴き逃せない瞬間の連続だったが、SKOとも息が合ってきたこのタイミングでの9番。死を目前にした作曲家の心のうちを、彼らがどんなふうに掘り下げていくのか、想像するだにワクワクする。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2017年8月号より)
2017.8/13(日)〜 9/10(日)
キッセイ文化ホール、ザ・ハーモニーホール、まつもと市民芸術館 他
問:セイジ・オザワ 松本フェスティバル実行委員会0263-39-0001
http://www.ozawa-festival.com/