日本橋オペラ特別公演 オスカー・ヒッレブランド(バリトン) & 福田祥子(ソプラノ) デュオリサイタル

東西の名歌手2人で聴くヴェルディとワーグナーの名曲


 東京メトロ水天宮前駅から徒歩2分、中央区立日本橋公会堂内にある「日本橋劇場」は、400席強の程よいサイズ。内装も美しく、落ち着いた空間である。
 さて、このホールを根城とする団体〈日本橋オペラ〉が、来る8月下旬に特別公演を開催。内容は、2人の“ドラマティックな声音を誇る名歌手”が、イタリアのヴェルディとドイツのワーグナーのオペラの名曲を歌い上げるデュオリサイタル。夏の終わりを飾る華々しい演奏が繰り広げられるだろう。
 まず、ウィーン在住の福田祥子は、欧州や日本で《トスカ》や《蝶々夫人》を歌う一方で、ワーグナーの楽劇のヒロインも務める実力派ソプラノ。筆者が観劇した際も、《神々の黄昏》のブリュンヒルデを逞しく歌い切り、客席を圧倒した覚えがある。今回も、持ち前の豊かな声量と引き締まったフレージングで《ドン・カルロ》や《トリスタンとイゾルデ》の名場面を熱唱するに違いない。
 続いて、ドイツの宮廷歌手の称号を有するバリトン、オスカー・ヒッレブランドは、かのドミンゴと《タンホイザー》の録音で共演している大ベテラン。ひときわ滑らかな声音の持ち主なので、イタリア・オペラも得意とし、今回も《オテロ》の〈イアーゴの信条〉や《さまよえるオランダ人》の主役のモノローグなど、幅広い音域を駆使して劇的に歌い上げることだろう。オペラ指揮者としても活躍中のピアニスト、ペーター・ヴァレントヴィッチの表現力も交えて、それぞれの熱演ぶりを大いに期待したい。
文:岸 純信(オペラ研究家)
(ぶらあぼ 2017年8月号から)

2017.8/27(日)14:00 日本橋劇場(中央区立日本橋公会堂4F)
問:マエストロ045-349-6540