縁の曲とともにバースデーを祝う
「芸術家に年齢はない」との一心で、“平和に繋がる音楽の創造”に身を捧げる人生だ。巨匠パブロ・カザルスの後継者として国際的に活躍を続け、今年で80歳の傘寿を迎えた名チェリスト、平井丈一朗。その記念となるステージは、前半でピアノ、後半でオーケストラと共演し、豊かな音色で、思い入れ深い旋律の数々を紡ぎ上げる。
1957年から5年間、カザルスの薫陶を受け、巨匠自身から「私の後継者」と明言された平井。71年にカザルスが“95歳誕生演奏会”で演奏予定だったものの、体調不良で果たせず、急遽、平井が師の楽器で代わって弾いたベートーヴェンの第3番など、チェロ・ソナタの名品を、二男の元喜のピアノと共に。
そして、平井が51年前に日本初演して以来、わが国で急速に知られるようになったハイドンの協奏曲ハ長調を、自らの手によるカデンツァを交えて。さらに、93年の皇太子ご成婚の折に作曲した「祝典序曲」など、チェロをソロに据えた自作も披露。長男の秀明が指揮する、特別編成の“ジュビリー・オーケストラ”が共演を務める。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2017年8月号より)
2017.8/28(月)19:00 東京文化会館(小)
問:インターミューズ・トーキョウ03-3475-6870
http://intermuse.lolipop.jp/