第16回(2016年度)佐治敬三賞が「伶楽舎第十三回雅楽演奏会〜武満徹『秋庭歌一具』(2016年11月30日 東京オペラシティ コンサートホール)」に決定した。同賞は、わが国で実施された音楽を主体とする公演の中からチャレンジ精神に満ちた企画でかつ公演成果の水準の高いすぐれた公演に贈られるもので、2001年度(平成13年度)に公益財団法人サントリー芸術財団により制定された。
伶楽舎は、雅楽の合奏研究を目的に1985年に発足した雅楽演奏グループ。音楽監督は芝祐靖。発足以来、現行の雅楽古典曲以外に、廃絶曲の復曲や正倉院楽器の復元演奏、現代作品の演奏にも積極的に取り組み、国内外で幅広い活動を展開している。
公演では芝が復曲・構成を手がけた「露台乱舞」と武満徹の「秋庭歌一具」が上演され、特に「秋庭歌一具」では、勅使川原三郎・佐東利穂子のダンスとの共演で聴かせるというアイディアで、彼ら独特の軟体的なダンスが音楽の中に入り込み、一種の楽器のように機能、本年度において出色の充実度を誇るものと評された。
若々しい挑戦の意欲に満ちた同公演は、佐治敬三賞の精神を見事に体現するものであり、審査員一致で贈賞が決定した。
(ぶらあぼ5月号より)
サントリー芸術財団
http://www.suntory.co.jp/sfa/music/