ウィーンからの素敵なクリスマス・プレゼント
ザ・フィルハーモニクスはウィーン・フィルのメンバーを中心に結成された凄腕アンサンブル。2006年のウィーン・フィル来日公演に参加していた第2ヴァイオリン首席奏者のティボール・コヴァーチとコントラバス首席奏者のエーデン・ラーツが、福岡でしゃぶしゃぶを食べていた時に意気投合。帰国後に室内楽に定評のあるヴィオラのティロ・フェヒナーに声を掛けたのがきっかけとなって誕生したそうだ。その後、クラリネットの名門一家から父エルンストと同じく首席奏者のダニエル・オッテンザマー、現在はベルリン・フィルに在籍するチェロのシュテファン・コンツらを加えて活動を開始し、ドイツ・グラモフォンからアルバムもリリース。13年以降は度々日本を訪れ、正統派スタイルの演奏をベースに、超絶技巧を駆使して名曲にラテンやジャズ、東欧の民族音楽など様々な要素を加えて再構築した度肝を抜くエンターテインメント色で観客を魅了してきた。
今回の来日公演はクリスマス向けのプログラム。ファンには待望の新曲がたっぷり聴けそうなのがポイントだ。バレエ組曲「くるみ割り人形」こそチャイコフスキー名義のクレジットだが、後は「動物の謝肉祭」からの「象」も「リゴレット幻想曲」も《ユダヤの女》からのアリアも編曲者が名を連ねており、どんなぶっ飛び演奏になるか期待が膨らむ。情報によるとサティの「グノシエンヌ」などは超クレズマー風とか! 新メンバーのクリストフ・トラクスラー(ピアノ)とセバスティアン・ギュルトラー(第2ヴァイオリン)の活躍も楽しみだ。
文:東端哲也
(ぶらあぼ 2016年12月号から)
12/9(金)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040
http://www.japanarts.co.jp/
他公演
12/8(木)東北大学百周年記念会館 川内萩ホール(河北チケットセンター022-211-1189)