ブロードウェイ版“冬の旅”
アメリカの“声の音楽”の第一人者だ。ニューヨークで学び、クラシックからミュージカル、民謡まで、「アメリカ」を幅広く歌うソプラノの柴田智子が、新たに『アメリカンシアターシリーズ』をスタートする。
その初回は、『ナイン』『タイタニック』などで知られるミュージカル作曲家モーリー・イーストン(1945〜)の「ディセンバー・ソングズ DECEMBER SONGS」を紹介。カーネギーホール開館100周年(1991)記念の委嘱作品で、シューベルトの「冬の旅」にインスパイアされたという全10曲の歌曲集だ。雪のセントラル・パークをさまようアラフォー女性の失恋、喪失、そして再生…。
作曲者自身によるテキストは、「冬の旅」同様、歌曲集全体でひとつのストーリーを形作っている。シューベルトを想起させる旋律も散りばめられているが、もちろんブロードウェイの一流作曲家らしい、洗練されたエンタテインメントに仕上がっている。今回柴田は、この歌曲集をコンサートの形ではなく演出付きで上演する。
さらに、プログラム前半にはこの物語の序章に見立てたミュージカル・ナンバーを置き、「DECEMBER SONGS」を主体としてプログラム全体がひとつの流れを持つショーとして構成されるのだ。まさに“アメリカン・シアター!”理屈抜きで楽しめそう。
共演に『レ・ミゼラブル』などで大人気の東京芸大出身イケメン・ミュージカル俳優、上原理生(りお)。ピアノは内門卓也。日本語字幕付き英語上演。
文:宮本 明
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年11月号から)
12/10(木)18:45 Hakuju Hall
問:T.S.P.I.INC. 03-3723-1723
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