【CD】佐藤紀雄と二人の作曲家/佐藤紀雄

ALM RECORDSは近年、高橋悠治、山岡重治、里見暁美らのLP期の現在入手困難な名盤を次々CD復刻して心強いが、当盤もそのひとつ。現在もアンサンブル・ノマドを率い活躍するギタリスト・佐藤紀雄のファースト・アルバム(1977年発売)だ。高橋悠治と近藤譲の作品をカップリングしており、1970年代後半の空気が伝わる。1960年代の前衛の時代が革命の季節と共に終焉し、抽象的論理の極みから解放されてゆく「音」たちを2人の作曲家がそれぞれのやり方でとらえ、佐藤のギターとアンサンブルが生命を吹き込む。高橋の「ジョン・ダウランド帰る」、古代ギリシャを参照する近藤の「結ぼれ」と、過去への眼差しも印象的。

文:矢澤孝樹

(ぶらあぼ2026年10月号より)

【information】
CD『佐藤紀雄と二人の作曲家/佐藤紀雄』

高橋悠治:メタテーゼ 第2番、ジョン・ダウランド帰る/近藤譲:結ぼれ、視覚リズム法

佐藤紀雄(ギター/バンジョー)
ジョン・ヘイロック(ナレーション)
山口恭範(カウベル)
篠崎功子(ヴァイオリン)
高橋アキ(電気ピアノ)
川合良一(指揮) 他

コジマ録音
ALM-12 ¥3080(税込)


矢澤孝樹 Takaki Yazawa

1969年山梨県塩山市(現・甲州市)生。慶應義塾大学文学部卒。水戸芸術館音楽部門主任学芸員を経て現在ニューロン製菓(株)及び(株)アンデ代表取締役社長。並行して音楽評論活動を行い、『レコード芸術online』『音楽の友』『モーストリークラシック』『ぶらあぼ』『CDジャーナル』にレギュラー執筆。朝日新聞クラシックCD評選者および執筆者。CD及び演奏会解説多数。著書に『マタイ受難曲』(音楽之友社)。ほか共著多数。