
トリトン晴れた海のオーケストラは、第一生命ホールを拠点とし、ヴァイオリニストの矢部達哉を中心に、2015年に立ち上げられた。指揮者を置かず、矢部がコンサートマスターとして全体をリードする室内オーケストラ。室内楽のような緻密なアンサンブルが特長である。2018年から21年までベートーヴェン・ツィクルス(交響曲全曲演奏)を手掛け、大きな注目を集めた。現在は、2度目のベートーヴェン・ツィクルスに取り組み、今年度はツィクルスVIIとVIIIということで、いよいよ2巡目も終盤を迎える。
10月24日の「VII」では、交響曲第7番のほか、矢部の盟友というべき小山実稚恵を独奏者に迎え、モーツァルトのピアノ協奏曲第27番が演奏される。まさに円熟期にある小山がモーツァルトの最後のピアノ協奏曲でどんな演奏を聴かせてくれるのか、非常に楽しみである。
2027年2月27日の「VIII」では、交響曲第8番のほか、矢部とチェロの宮田大が独奏を務めて、ブラームスのヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲、そして、宮田と佐藤晴真のデュオでソッリマの「チェロよ、歌え!」が披露される。今や日本を代表するチェリストとなった宮田がタイプの異なる2曲でソロを聴かせてくれるのがうれしい。佐藤はオーケストラにも参加する。
2巡目では、小川響子や北田千尋ら、国内オーケストラの若きコンサートマスターたちがメンバーに加わり、ベートーヴェンの交響曲第7番と第8番では、さらにバージョン・アップされた演奏が展開されるだろう。
文:山田治生
(ぶらあぼ2026年7月号より)
トリトン晴れた海のオーケストラ 第19回・第20回演奏会 ベートーヴェン・ツィクルスVII・VIII
【第19回】2026.10/24(土) 14:00
【第20回】2027.2/27(土)18:00
第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702
https://www.triton-arts.net

山田治生 Haruo Yamada
音楽評論家。1964年、京都市生まれ。1987年慶應義塾大学経済学部卒業。雑誌や演奏会のプログラム冊子に寄稿。著書に「トスカニーニ」、小澤征爾の評伝である「音楽の旅人」、「いまどきのクラシック音楽の愉しみ方 」、編著書に「戦後のオペラ」、「バロック・オペラ」、「オペラガイド」、訳書に「レナード・バーンスタイン ザ・ラスト・ロング・インタビュー」などがある。

