ロレンツォ・ヴィオッティが二つのシンフォニーで示す東響のさらなる躍進!

ロレンツォ・ヴィオッティ ©Jan Willem Kaldenbach

 ロレンツォ・ヴィオッティと東京交響楽団の新しい航海がはじまった。5月の新音楽監督就任披露では、まっさきにベートーヴェンとマーラーの交響曲第1番を組み合わせ、伝統と革新を見据えつつ、細心にして大きな息づかいで音楽を満たしていった。続いては、シュトラウスの「4つの最後の歌」とラヴェルの「ダフニスとクロエ」という後期作を組んで、声とオーケストラを一体に、精緻にして優美なアンサンブルを織りなした。

 大言壮語に走らず、誠実にさりげなく、コンサートの前後半、さらに2つのプログラムのコントラストを通じて、ヴィオッティと東響の表現の可能性を高らかに予感させる輝かしい就任披露となった。これまでの東響とは楽器配置も替え、大らかで瑞々しい響きを導いたのは懐かしくも新鮮だった。

 再会が待ち遠しくなったところへ、夏の定期では再びシンフォニー2曲を組み、ブラームスとドヴォルザークという敬愛し合うロマン派の両雄を結ぶ。

 1880年代に前後して書かれた2つの名交響曲は、主調もヘ長調とニ短調という♭1つの平行調の関係。ブラームスが第3番で曲冒頭から告げる3音モットーは信条たる「自由にして喜ばしく」と関連づけられるが、そうした進境が拓かれるといい。ドヴォルザークの第7番は、スラヴの民族的情趣を活かしながらも内省を深め、本格的な交響楽創作への大きな一歩を踏み出した重要作である。

 ヴィオッティ新時代の躍進が颯爽と、おそらくは雄大に鳴り響いていくことだろう。

文:青澤隆明

(ぶらあぼ2026年7月号より)

ロレンツォ・ヴィオッティ(指揮) 東京交響楽団 第743回 定期演奏会
2026.7/18(土)18:00 サントリーホール
問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511
https://tokyosymphony.jp

他公演
7/19(日) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール(りゅーとぴあチケット専用ダイヤル025-224-5521)


青澤隆明 Takaakira Aosawa

書いているのは音楽をめぐること。考えることはいろいろ。東京生まれ、鎌倉に育つ。東京外国語大学英米語学科卒。音楽評論家。主な著書に『現代のピアニスト30—アリアと変奏』(ちくま新書)、ヴァレリー・アファナシエフとの『ピアニストは語る』(講談社現代新書)、『ピアニストを生きる-清水和音の思想』(音楽之友社)。『ショスタコーヴィチを語る』(青土社)で、亀山郁夫氏と対談。そろそろ次の本、仕上げます。ぶらあぼONLINEで「Aからの眺望」連載中。好きな番組はInside Anfield。
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