尾高は2018年に大阪フィルの音楽監督に就任してすぐにベートーヴェン・ツィクルスに取り組み、さらに昨年の秋から再度チャレンジした。その成果が詰まった「第九」だ。まず足取りが軽くどんどん前に進む。その推進力が心地よい。また音響バランスがよくコンパクトにまとまり、音色がよく分離していて各奏者の歌う様子がヴィヴィッドに捉えられている。第2楽章のトリオは横の流れと縦の拍の鮮やかな切り替えが爽快だし、第3楽章は安定した大地を提供するバスの上に、旋律が清水のように流れていく。フィナーレは独唱・合唱も含めがっちりとスクラムを組んだ。尾高の美学が細部まで浸透している。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2026年7月号より)
【information】
SACD『ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」 /尾高忠明&大阪フィル』
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
尾高忠明(指揮)
大阪フィルハーモニー交響楽団
森谷真理(ソプラノ) 林眞暎(アルト)
村上公太(テノール) 平野和(バリトン)
大阪フィルハーモニー合唱団
収録:2026年2月、大阪/ザ・シンフォニーホール(ライブ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00905 ¥3850(税込)


