
マチェイ・スクシェチュコフスキは2001年生まれのチェンバロ奏者、フォルテピアノ奏者。2023年にブルージュ国際古楽コンクールのチェンバロ部門で優勝し、一躍注目を浴びた。ハーグ王立音楽院を経て現在はアムステルダム音楽院に学んでおり、並み居る古楽界の巨匠たちに連なる正統派といえる。初来日となった24年4月の浜離宮朝日ホール公演ではオール・バッハ・プログラムを披露し大好評を博した。今回も全曲バッハによる構成で、2年ぶりに再登場する。
音楽誌上で「颯爽としたスピード感、自在な音色、そして気品漂う演奏」と絶賛された彼の音楽作りの特徴は、確固たる伝統と新世代的自由さの感覚の見事な調和だろう。今回のプログラムでも、バッハが習得した舞曲スタイルの精華である「フランス組曲」という古典作品を中心に据えつつ、各種楽器用音楽の鍵盤用編曲版を組み合わせるなど、定石を押さえたうえで独自色を打ち出そうとする気概が強く感じられる。冒頭を飾る「リュート組曲 ハ短調 BWV997」は、基本資料となる筆写譜には鍵盤楽器用と明示されているものの、リュート用の奏法譜でも伝わっている作品で、その弾き方には演奏者の解釈が深くかかわる。スクシェチュコフスキの場合は、持ち味である流麗な、撥弦楽器を爪弾くような演奏スタイルと表情豊かなアーティキュレーションが存分に活かされるものと期待できる。
ショパンの国が育んだ新たな鍵盤音楽の才人による注目の来日公演。これはぜひチェックしておきたい。
文:近松博郎
(ぶらあぼ2026年4月号より)
マチェイ・スクシェチュコフスキ チェンバロ・リサイタル
2026.6/11(木)19:00 浜離宮朝日ホール
問:朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/

