パデレフスキ国際ピアノコンクール優勝、ノ・ヒョンジンが来日会見

 東京・目黒区にある駐日ポーランド共和国大使館で3月16日、第13回パデレフスキ国際ピアノコンクール優勝者 ノ・ヒョンジン(ROH Hyunjin)、日本パデレフスキ協会会長の横山幸雄らが出席して記者会見が行われた。

左より:二瓶純一(ジャパン・アーツ 代表取締役社長)
ウルシュラ・オスミツカ(ポーランド広報文化センター 所長)
横山幸雄(日本パデレフスキ協会 会長)、ノ・ヒョンジン、劉優華(同 事務局長)

 イグナツィ・ヤン・パデレフスキ Ignacy Jan Paderewski(1860-1941)の名を冠したこのコンクール。ポーランドの初代首相を務めた人物としても知られ、1961年に創設されたコンクールは、3年に一度ビドゴシチで開催され、ショパンコンクールに次ぐ若手ピアニストのための登竜門として位置づけられている。

 ポーランド広報文化センターのウルシュラ・オスミツカ所長は、パデレフスキという存在について、「優秀なピアニスト、作曲家であるだけではなく、偉大な政治家でもあり、すべてのポーランド人の心の奥底に残る人物」と紹介した。2025年11月の大会では、入賞者5名のうち4名がアジア出身(日本から出場の青島周平も第5位に入賞)という結果となり、アジア圏でのコンクールへの関心の高まりを実感しているという。

 第1位となったノ・ヒョンジンは2001年ソウル生まれ。ソウル大学でジュ・ヒソンの指導のもと学び、学士号を取得。現在は、ボストンのニューイングランド音楽院の修士課程で研鑽を積んでいる。今回の来日は、コンクール優勝者の副賞「中村紘子賞」として、日本パデレフスキ協会および浜松市文化振興財団により提供されたリサイタル・シリーズへの出演のため。浜松・東京・洲本(兵庫)・水戸(茨城)で全5公演が予定されている。

*中村紘子は、1990年から2005年にかけて同コンクールの審査員を務めた

 この日の会見では、パデレフスキの作品から、作曲家の生前から人気の高かったメヌエット(6つの演奏会用ユモレスク op.14より)とポロネーズ ロ長調(6つのポーランド舞曲 op.9より)と、リストのペトラルカのソネット第104番(巡礼の年 第2年「イタリア」より)で、ダイナミックレンジを広くとり、情感豊かにスケールの大きな演奏を聴かせた。

 続いて行われた質疑応答で、コンクールの思い出を聞かれると、ストラヴィンスキー「火の鳥」を演奏した第1次予選が、会場の大きさとのバランスをとるのにいちばん苦労したという。同コンクールでは、課題曲としてパデレフスキの作品を弾くことも求められる。現存するパデレフスキの作品は約50曲ほどで、大半を占めるのがピアノ曲だ。
「先ほども演奏したポロネーズが非常に印象に残っています。コンクールではパデレフスキのたくさんの曲の中から選ぶことができたので、すべての曲を弾いてみたのですが、そのなかで最も衝撃を受けたのがこのポロネーズでした。ショパンにもポロネーズはたくさんありますが、ショパンとの違いを表現することができて、素晴らしい経験でした」

 これまでに指導を受けたピアニストの中で、最も印象に残った人物を問われると、ソウル大学在学時に師事したジュ・ヒソンの名を挙げ、「私がそれまで非常に内向的で、ピアノに対しても人生に対しても自信を持つことが難しかったのですが、先生に出会って非常に外交的になりましたし、自信を取り戻すことができました」と大きな影響を受けたことを明かした。まもなく、新しい指導者に師事するため、ボストンからロサンゼルスに拠点を移す予定だという。若手の実力者ひしめく韓国のピアノ界だが、「これからもコンクールに挑戦していきたい」と語るノ・ヒョンジンの今後の活躍を楽しみにしたい。

取材・文:編集部

【Information】
3/17(火)19:00 浜松/かじまちヤマハホール
3/18(水)19:00 東京/東音ホール
3/19(木)18:30 東京/ザ・キタノホテル東京 L‘Orangerie 光庵(日本パデレフスキ協会例会)
3/20(金・祝)1部 14:00 2部 14:30 兵庫/洲本市文化体育館 文化ホール
3/22(日)14:00 茨城/佐川文庫

International Paderewski Piano Competition
https://paderewskicompetition.pl