第27回「高松宮殿下記念世界文化賞」(主催・公益財団法人日本美術協会)の受賞者が、9月10日の記者会見で発表された。音楽部門はピアニストの内田光子、演劇・映像部門はバレリーナのシルヴィ・ギエムが選ばれた。
内田光子は、1948年静岡県生まれ。12歳の時に渡欧しウィーン音楽院でリヒャルト・ハウザーに師事。69年ベートーヴェン国際コンクール第1位、70年ショパン国際ピアノコンクール第2位、73年クララ・ハスキル・コンクール第2位、75年リーズ国際ピアノコンクール第2位等、数々のコンクールで受賞。幅広いレパートリーを持ち、モーツァルト弾きとして名を知られ、“弾き振り”も有名。音楽部門選考委員の堤剛は会見で、「人類愛に溢れた大きな人間性と、それと共にある輝かしい芸術性を併せ持つ真のインターナショナルアーティストであり、ピアノのみならず音楽界全体の立て役者として音楽家を引っ張ってきた。世界文化賞に最もふさわしい芸術家である」と語った。内田は11月、2年振りとなる日本でのリサイタルを行う。
シルヴィ・ギエムは、1965年フランス・パリ生まれ。オリンピックに出場できるほどの体操選手だったが、12歳でバレエに転向。16歳でパリ・オペラ座バレエ団に入団し、19歳でエトワールに昇進。24歳で英国ロイヤル・バレエ団に入団する。柔軟かつ強靱な肉体と高度なテクニックで知られ、クラシック・バレエだけではなくコンテンポラリー・ダンスにも取り組む。83年ヴァルナ国際バレエコンクール金賞、特別賞、優秀賞の3冠を獲得。99年フランス国家功労章、2001年ニジンスキー賞、03年大英帝国勲章CBE受章等、数多くの賞を獲得している。また、30回以上も来日し、東日本大震災へのチャリティー公演も行う親日家でもある。今年いっぱいでの引退を表明しており、最後の公演は『大好きな日本』で12月に行う。演劇・映像部門でのバレエ界からの受賞は、12年の森下洋子以来。
そのほかの部門の受賞者は、次の通り。絵画部門:横尾忠則(日本)、彫刻部門:ヴォルフガング・ライプ(ドイツ)、建築部門:ドミニク・ペロー(フランス)。
また、第19回若手芸術家奨励制度として、ヤンゴン映画学校(ミャンマー)が選ばれた。
「高松宮殿下記念世界文化賞」は、日本美術協会の創立100周年を記念し1988年に創設。前総裁高松宮殿下の「世界の文化芸術の普及向上に広く寄与したい」との遺志にもとづき、絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像の各分野で、世界的に顕著な業績をあげた芸術家に毎年授与される。
なお、授賞式は同協会総裁の常陸宮殿下、同妃殿下出席のもと、10月21日に東京・元赤坂の明治記念館で行われる。受賞者には、顕彰メダルと賞金1500万円が贈られる。
高松宮殿下記念世界文化賞
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