
右:菊本和昭
N響2月定期のCプログラムでは、同楽団創立100周年を祝う特別企画「邦人作曲家シリーズ」がスタートする。日本のオーケストラ文化の歴史に、日本人自らの手による創造や解釈の足跡をたどろうとする意欲的な試みだ。
指揮はN響と2023年に初共演し好評を博したゲルゲイ・マダラシュ。プログラムはまず彼の母国ハンガリーの民謡を素材にした「『くじゃく』による変奏曲」(コダーイ)で開幕する。民謡の素朴さと変奏による音楽の広がりが、色とりどりの羽を広げたようにオーケストラの音色へと変わっていく。続くフンメルのトランペット協奏曲 ホ長調ではN響首席トランペット奏者の菊本和昭が、明るく輝く旋律と技巧的なパッセージを聴かせてくれるだろう。
後半は邦人作曲家シリーズの第一弾として、近衛秀麿の編曲によるムソルグスキー「展覧会の絵」が演奏される。近衛は作曲・編曲・指揮のそれぞれの領域で国際的に活動し、日本の交響楽運動の草創期を牽引した。この編曲版は1934年にN響の前身である新交響楽団の定期公演で近衛自身が取り上げている。
近衛はラヴェル編曲版をロシアで指揮した際、フランス風の味付けによって作品本来の土臭さが失われているという批判を耳にした。近衛の編曲は、ラヴェルのそれを踏まえながらも原曲の素朴さをより前面に押し出すというコンセプトで編まれている。作品の原点に立ち返ろうとする近衛の思いがどのようなオーケストレーションに結実したのか、92年の時を経てN響はそれをどう音にするのか、じっくり耳を傾けたい。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2026年2月号より)
ゲルゲイ・マダラシュ(指揮) NHK交響楽団
第2058回 定期公演 Cプログラム
2026.2/13(金)19:00、2/14(土)14:00 NHKホール
問:N響ガイド0570-02-9502
https://www.nhkso.or.jp


