仙台国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門最高位、ムン・ボハが東京リサイタルデビュー!

 5月から6月にかけて開催された第9回仙台国際音楽コンクールのヴァイオリン部門で、韓国出身の19歳、ムン・ボハが最高位(第2位)を受賞した。12月5日には浜離宮朝日ホールで東京での初リサイタルが開催される。最高位受賞以来、日韓米欧をめまぐるしく移動するボハに話を訊いた。

 「コンクール後はカーティス音楽院が夏休みに入っていたので韓国の実家に2週間ほど滞在し、それからシカゴでコンサート、また韓国で2週間過ごし、今度はプラハで公演を開いていただきました。プラハはかつて3年間過ごした街なので、皆さん、仙台の最高位受賞を喜んで声をかけてくださいました。また韓国に帰って、日本音楽財団からヴァイオリンを貸与いただけるということで日本にも立ち寄り、音楽院が始まってフィラデルフィアに戻りました」

 ボハはカーティス音楽院で、名教授アイダ・カヴァフィアンについている。

 「先生はとても喜んで、人に会うたびに私の受賞を自慢してくださっています。プラハで師事していたシュパチェク先生も、君は十分この賞に値する、と力強くおっしゃってくださいました」

 12月のリサイタルについて、まずは共演者のことを訊いた。

 「ピアノのチェルシー・ワンさんとは初めて組みます。カヴァフィアン先生が引き合わせてくださった方で、良い感触です」

 シューベルトの「幻想曲」とヴィエニャフスキの「《ファウスト》の主題による幻想曲」を後半に置いた意欲的なプログラムだ。選曲の観点を語ってもらった。

 「ファンタジーというテーマで、音楽的に難しいシューベルトとヴィルトゥオーゾのヴィエニャフスキを後半にまとめました。どちらもずっと弾きたかった曲です。前半のグリーグのソナタ2番は、グリーグの3つのソナタの中で私の一番好きな作品。その3曲に何を組み合わせるか考え、カヴァフィアン先生の提案でダラピッコラの『タルティニアーナ』第2番を最初に弾くことにしました。20世紀の作曲家ダラピッコラが古い時代のタルティーニの音楽を採り入れた作品で、先生に提案されて初めて知り、よい曲だと思いました。日本音楽財団貸与の1709年製ストラディヴァリウス『エングルマン』を使います」

 日本の聴衆へのメッセージは?

 「日本は食べ物もおいしく、前回滞在したときはアメリカでブームになっている抹茶もたくさんお土産に買って帰りました。リサイタルで弾くのは私自身が好きな曲ばかりなので、皆さんにも気に入っていただきたいです。一瞬も退屈せず聴いていただけるよう頑張りますので、ぜひお越しください」

取材・文:萩谷由喜子

(ぶらあぼ2025年12月号より)

第9回仙台国際音楽コンクール最高位受賞記念
ムン・ボハ ヴァイオリンリサイタル
2025.12/5(金)19:00 浜離宮朝日ホール
問:仙台市市民文化事業団音楽振興課022-727-1872 
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