シャルル・デュトワが8年ぶりにN響定期登壇!

シャルル・デュトワ ©Chris Lee

 デュトワがNHK交響楽団に帰ってくる。名誉音楽監督の久々となる定期演奏会への登場だ。

 今回の2つのプログラムは、いずれも音の魔術師の手腕が生かされる、魅力的な選曲となった。Aプロは、メシアンの「神の現存の3つの小典礼」とホルストの組曲「惑星」。いずれも女性合唱が重要な役割をもった作品を組み合わせる。

 メシアン作品では、小菅優のピアノと大矢素子のオンド・マルトノも加わり、官能的なまでの色彩がホールを満たす。ホルストの組曲でも、それぞれの惑星のキャラクターを鮮明に描き分けてくれよう。そして、それはデュトワの指揮の確かさ、オーケストラを覚醒させる能力を示す演奏にもなろう。

 Cプロは、オール・ラヴェルだ。「亡き王女のためのパヴァーヌ」、組曲「クープランの墓」、バレエ音楽「ダフニスとクロエ」(全曲)という、作曲家の生誕150年を祝う王道なるセレクション。多くの人が待ち望んでいたように、滑らかなフレージングで繊細に織り上げられたラヴェル演奏が繰り広げられる。そして、ラストの「ダフニスとクロエ」では、それらの期待が大きな熱狂となって渦巻くはずだ。

 音楽監督時代には、ドイツ寄りだったN響にフランス音楽のエッセンスを植え付けたデュトワ。世代交代が進む楽団から、あのときのような細やかなニュアンスだけでなく、さらに新しいサウンドを引き出してくれることを期待したい。

文:鈴木淳史

(ぶらあぼ2025年10月号より)

シャルル・デュトワ(指揮) NHK交響楽団
第2048回 定期公演 Aプログラム

2025.11/8(土)18:00、11/9(日)14:00 NHKホール
第2049回 定期公演 Cプログラム
11/14(金)19:00、11/15(土)14:00 NHKホール
問:N響ガイド0570-02-9502 
https://www.nhkso.or.jp