第4回 鵠沼音楽アカデミー 受講生&サポーター募集中!

ヴァイオリニスト白井圭が、2023年から地元・藤沢で開催している「鵠沼音楽アカデミー」が、第4回の受講生を募集している。このアカデミーは、すべての楽器が対象、弦楽器はもちろん、ピアノや管楽器奏者も参加している。選考は学歴不問で、資料を伏せた状態で行う音源審査のみ。楽器の技術指導ではなく「音楽をともに学ぶ」ことを目的としている。
そして最大の特徴は、白井自身がアンサンブルの一員として一緒に演奏することで、受講生と作品を探究しながら、音楽の本質や新たな発見を分かち合う“学びの場”になっている。白井も「自分の専門外の楽器を扱う先生から受けた言葉が、意外と印象に残っていることも多い」と話す。応募の締切は9月30日まで。
これまでにこのアカデミーに参加した受講生の声を紹介しよう。
—— なぜこのアカデミーに応募しましたか?
・圭さんと音楽がしたい、また体感したいという思いからです。ここでは自発的に挑戦できるのが大きな魅力です。そして、同世代の素晴らしい演奏を聴いて学んだり、関わる機会が欲しくて応募しました。
・第1回に参加しましたが、とても充実していたので、ぜひまた受講したいと思っていました。聴講とリハーサル、音楽漬けの日々で、休憩時間は同じ食卓を囲んで受講生のみなさんともたくさんお話をしました。普段なかなか交流のない楽器の方とご一緒できたのも良かったです。みなさんの音色や音楽の表情の幅がどんどん広がっていく瞬間を目の当たりにして、大変刺激を受けました。
・大学を卒業し、フリー奏者として活動しています。学生の頃より学びの場は減っていますが実践的な演奏の悩みは増えていっています。そんな中でアンサンブルをしながら学べるこのアカデミーは、自身の悩みの解決の糸口になるかなと思い応募しました。また、弦楽器の圭さんとの演奏からは管楽器とはまた別の視点からの学びがあるのではないかという期待もありました。
—— 終わってみての感想、また驚いたことは?
・参加する前に自分で準備してきた音楽と、リハーサルで色々と実験して生まれた音楽は全く違うなと思いました。圭さんの一言で受講生のみんなの音が変わったり、イメージが共有できた時に鳴る響きには感動しました。
・リハーサルでヴァイオリンが専門の白井さんがピアノを弾いたとき、まさに私が欲しかった音が鳴ったのが不思議で、どうしたらそんな音が出せるのか質問したら、「楽器に『こういう音が欲しい』って伝えて弾くと出るよ」と仰ったことに驚きました。音に対するイメージの大切さに気付かされました。

・セミナーとなると先生の解釈に擦り合わせる感覚になることがあるのですが、鵠沼は対等な目線で音楽をし、挑戦的な気持ちを歓迎してくださる場で、聴講する中でもその活発な音楽に何度も触発されました。また、白井先生ご自身がピアノを弾く場面が多々あり、ピアノでも音作りが素晴らしく、テクニックよりも音の想像を強く持つことの効果に驚きました。
・楽しい思い出ばかりです。関東、関西で活動する方の演奏を聴く機会は多くないのでとても刺激になりました。ふだんは管楽器の先生に見てもらう事が多いのですが、弦楽器の先生から受けるアドバイスは、やはり管楽器の常識とは違うこともあり、言われた時は「えっ、そんな事するの?!」と思いましたが、やってみるとより自然な音楽になり驚きました。経験値が増えてきたからこそ常識を疑い、色んなアイデアを試してみることの大切さに気づくことができました。
—— 印象に残っていること、今後活かそうと思っていること
アンサンブルとはお互いの「居場所」を作ること、また、空間の音を聴くときに「頭を開く」という言葉が印象的でした。それから以前は「練習は本番のように、本番は練習のように」という意識が強くありました。しかし、白井さんの「本番で(あらかじめ)決めた音楽はしない」という言葉を受けて、今後は本番でも常に挑戦の心を持ち、共演者と共にそこにしか生まれない音楽を追求していきたいです。また、この精神の輪が周囲にも広がっていけばいいなと思います。
「音をよく聴いて、その音はどこにいきたい?どこに向かおうとしている?」という言葉です。楽譜通りに吹いて、満足してしまうことがありますが、圭さんは常に音や和声のエネルギー、作曲者の楽譜に書ききれていない意図を読み取ろうとしている印象が強くあります。私自身、音を並べることや、奏法などに頭がいっぱいになり、耳が塞がり、音楽を見失ってしまうことがあると感じました。本来は音楽が先にあり、そこで出したい音があるから練習をするという本質を改めて教えていただきました。

他にも受講料が破格(全日程で税込30,000円)という声や、宿泊費や交通費(遠方からの参加の場合)の補助、食事の提供など、ホスピタリティが充実しているという感想も多かった。これは、次の白井の想いに共感してこのアカデミーを応援する「サポーター」の存在により成り立っている。
「何か壁を感じていたり、迷っていても経済的な事情から一歩を踏み出せない、そんな若い音楽家たちにも一様にチャンスをあげたいと思っています。
文化芸術を愛する方々にお力添えをいただくことで、僕自身がこれまで経験させていただいてきたように、若者たちに高度な学びの機会、人生の糧になるような時間を提供できたら嬉しいです」
また11月には、特に優れた受講生を地域の人々に紹介する新たな企画「鵠沼音楽アカデミー introduces Young Artist vol.1」を開催予定、ピアニストの小形 然(おがたぜん)が出演する。
今年8月には、ピアニストの上原彩子を迎えてのコンサート「スペシャル応援イベントvol.5 」を行ったり、音楽経験や技術レベルも問わずに応募できる「Open Day」を初めて開催し、13歳から50歳代まで20人を超える奏者が参加するなど、4年目を迎え活動の幅をますます広げている。
なお、アカデミーの会期2日目以降は一般の方も聴講が可能で、プロの音楽家(コンサートマスター!)が足を運ぶことも。最終日には、白井も出演する修了コンサートが予定されているので、会期を通しての受講生の成長を見ることができるのも、このアカデミーの魅力のひとつだろう。
文:編集部
第4回 鵠沼音楽アカデミー
【日程】
2026年2月23日〜3月1日
【会場】
レスプリ・フランセ
神奈川県藤沢市鵠沼海岸7-7-11
【実施概要】
選抜された受講生に講師を加えたアンサンブルを5グループ程作り、
各組約90分×3回程度のリハーサルを行います。最終日には修了コンサートを実施。
期間中はリハーサルのほか、特別講師による講座も開講されます。
※2日目からはリハーサルを公開します。

鵠沼音楽アカデミー introduces Young Artist vol.1
小形然 ピアノ リサイタル
2025.11/3(月・祝)14:00 レスプリ・フランセ
問:info@km-academy.jp
https://km-academy.jp/
会場:レスプリ・フランセ
神奈川県藤沢市鵠沼海岸7−7−11
TEL:0466-34-3299


