暗譜に立奏、オリジナル曲……ヴィジョン弦楽四重奏団がツアーで日本を席巻!

©Sander Stuart

 ヴィジョン弦楽四重奏団が帰ってくる! 2012年結成、16年ジュネーヴ国際音楽コンクール第1位。その後はオンリーワンのパフォーマンスで、世界中に衝撃を巻き起こしてきた。来日は19年と22年で、待望の再来日となる。

 チェロ以外は立奏、完全暗譜で臨む4人。強調したいのは、団として世界屈指レベルの上手さと、愉悦感あふれる演奏。クラシック演目は統一感のある澄んだ音色、完璧なバランス、その上で個々人の卓越した技量で聴衆を魅了してしまう。今回東京公演で聴かせるのは、近年人気の高いグリーグの四重奏曲。旋律美と熱気に満ちた名品で、決定的な快演が堪能できそうだ。

 ジャンルを問わない彼らの特長が集約されるのは、21年のオリジナル曲アルバム『スペクトラム』。22年に続き、東京でこれが取り上げられる。前回は4人それぞれが超人的なソロを弾きまくり、PAに視覚効果も含めたステージで、室内楽の枠を超えたライブ感を生み出していた。彼らのこと、3年経った今回、さらに痛快な舞台になるに違いない。

文:林 昌英

(ぶらあぼ2025年10月号より)

ヴィジョン弦楽四重奏団 2025年日本ツアー
2025.10/29(水)19:00 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール
問:テレビマンユニオン03-6418-8617 
https://www.tvumd.com
※東京(武蔵野)、新潟、兵庫、愛知、神奈川公演あり。


林 昌英 Masahide Hayashi

出版社勤務を経て、音楽誌制作と執筆に携わり、現在はフリーライターとして活動。「ぶらあぼ」等の音楽誌、Webメディア、コンサートプログラム等に記事を寄稿。オーケストラと室内楽(主に弦楽四重奏)を中心に執筆・取材を重ねる。40代で桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コース音楽学専攻に学び、2020年修了、研究テーマはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。アマチュア弦楽器奏者として、ショスタコーヴィチの交響曲と弦楽四重奏曲の両全曲演奏を達成。