【CD】ラヴェル:ピアノ協奏曲集、高雅で感傷的なワルツ、パヴァーヌ /ネルソン・ゲルナー&山田和樹&モンテカルロ・フィル

 知性と詩情を兼ね備えたアルゼンチン出身のピアニスト、ネルソン・ゲルナーの新譜は、ラヴェルの2つのピアノ協奏曲と独奏曲を収める。協奏曲は山田和樹指揮、モンテカルロ・フィルとの共演である。ト長調の協奏曲は、ゲルナーの情熱的かつ品格のあるピアノと、それに呼応した山田のタクトが導くオーケストラとの緻密なアンサンブル。左手のための協奏曲は、ピアノもオケも厚みがありつつ伸びやかな響きで精細に織りなす。「高雅で感傷的なワルツ」「亡き王女のためのパヴァーヌ」の語りのような自然なリズム表現は、ラヴェルの紡いだ音の彩を立体的に伝える。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2025年10月号より)

【information】
CD『ラヴェル:ピアノ協奏曲集、高雅で感傷的なワルツ、パヴァーヌ /ネルソン・ゲルナー&山田和樹&モンテカルロ・フィル』

ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調、高雅で感傷的なワルツ、左手のためのピアノ協奏曲、亡き王女のためのパヴァーヌ

ネルソン・ゲルナー(ピアノ)
山田和樹(指揮)
モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団

Alpha Classics/ナクソス・ジャパン
NYCX-10548 ¥3300(税込)


飯田有抄 Arisa Iida(クラシック音楽ファシリテーター)

音楽専門誌、書籍、楽譜、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジン等に執筆、市民講座講師、音楽イベントの司会等に従事する。著書に「ブルクミュラー25の不思議〜なぜこんなにも愛されるのか」「クラシック音楽への招待 子どものための50のとびら」(音楽之友社)等がある。公益財団法人福田靖子賞基金理事。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。