情熱的なピアニズムが復活!
華やかな音色を駆使したスケールの大きな演奏はもとより、国内外のコンクールの審査員やマスタークラスの開催等で後進の育成にも尽力し、日本のピアノ界を牽引し続ける中村紘子。講演会やメディアにも積極的に出演し、軽妙な語り口で人気を集める彼女の真骨頂とも言える『トーク&コンサート』の第3回目が開催される。様々なテーマを設定し、多くの人々に愛される名曲を、歯に衣着せぬ「本音」トークと共に繰り広げる、大人気の企画である。今年は体調不良で心配なこともあったが、見事に復活を果たしたばかりの中村。彼女の元気な姿はもちろん、多くの聴衆を魅了してやまない、輝かしい演奏の復活にも期待が膨らむ。
「ロシアの六月」をテーマに掲げた今回のプログラムは、中村の情熱的なピアニズムを余すことなく楽しめる重厚なもの。「6月」のために書かれたチャイコフスキー「四季」の〈舟歌〉に始まり、中村が得意とするラフマニノフからは、甘美な旋律が魅力の「幻想的絵画」第1曲〈舟歌〉と、彼女の十八番である前奏曲「鐘」。最後に控えるのはムソルグスキーの「展覧会の絵」だ。色彩感、繊細さと大胆さとが融合した作品を、切れ味鋭いトークと共に楽しめる時間は非常に有意義なものとなるはず。梅雨時である6月は気分が塞ぎがちだが、遠いロシアの大地へと想いを馳せつつ、中村のドラマティックなピアノに耳を傾け、ジメジメ気分を吹き飛ばそう。
文:長井進之介
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年5月号から)
6/19(金)13:30 東京オペラシティ コンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040
http://www.japanarts.co.jp