大野和士 都響音楽監督就任記者会見

   2015年4月から東京都交響楽団(都響)の音楽監督に就任する指揮者の大野和士さんが14日、都内で記者会見を行った。

 
 大野和士と都響は、大野自身のプロデビューとなった1984年3月の初共演以来、1990〜92年の都響指揮者を経て、近年も定期的な共演を重ね信頼関係を築いてきたが、2006年7月の公演が内外に大きな反響を呼び、そのことで、楽団内からも大野和士のポスト就任への期待感が高まったという。

 今回の就任について大野は「震災後、日本の皆さんのために尽くしたいという想いがつよくなっていた。今回のことでそれが実現でき、うれしく思っている」と喜びを語った。

 また、音楽監督として目指す方向としては「いろいろなレパートリーに挑戦していきたい。日本のオケも昨今いろいろな作品をとりあげるなど冒険をしているが、それ以上に活性化したい。世界同時進行的に、東京でコンサートを聴けば、世界の先端に触れられる、生まれたばかりの作品を、すぐに東京でも紹介する、場合によっては、世界の楽団との共同委嘱もありうる、そういうものを目指したい。知られざる名曲、知っておくべき名曲、といったものを、より紹介していきたい」と豊富を意欲的に語った。
 サントリーホールの企画委員も務める大野は、こうした都響の目指すものを具体化させる基盤として、同ホールでのシリーズ化も構想中だ。また、2015年は都響創立50周年にもあたり、秋にはヨーロッパツアーも行い、日本文化の最先端を披露すべく計画しているという。
 2015年就任後は、前期・後期の2回にわけて、それぞれ数公演、年間10公演程度を指揮する予定。

 会見に同席した都響コンサートマスターの矢部達哉は「大野さんの就任を一番待ち望んでいたのは間違いなく僕だと思う。ずっと待っていた。不謹慎かもしれないけれど、“放蕩息子の帰還”だと思っている。放蕩息子というのは、無一文になって戻ってくるものだけれど、大野さんは、欧米で経験した音楽を財産として持ち帰ってくれた」とユーモアを交えながら楽団としての歓迎の気持ちを伝えた。
【関連公演】
●第753回 定期演奏会Aシリーズ
ブリテン:戦争レクイエム
2013年6月18日(火)19:00 東京文化会館   
指揮:大野和士
ソプラノ:リー・シューイン
テノール:オリヴァー・クック
バリトン:福島明也
合唱:晋友会合唱団
児童合唱:東京少年少女合唱隊 


東京都交響楽団:http://www.tmso.or.jp/