ハンガリー流ピアニズムの継承者たち
多くの優れた世界的音楽家を輩出しているハンガリーのリスト音楽院。日本からも多くの有能な学生たちが留学先としてこの音楽院を選び、熱心に学んでいる。留学生活から戻った同窓生たちは、今では目覚ましい活躍ぶりを見せている。
6月に、同院で学んだ確固たる実績と人気を誇る6名のピアニストが集い、『リスト音楽院の仲間たち〜ハンガリーに魅せられた六人のピアニスト〜』と題したジョイントコンサートが開かれる。メンバーは干野宜大、志茂征彦、金子恵、揚原祥子、津嶋啓一、高田匡隆。いずれも活発な演奏活動と音楽大学での指導に当たり、今後ますます日本のピアノ音楽界を牽引していく豪華な顔ぶれだ。発起人は干野と津嶋で、この公演を旗揚げとして今後のシリーズ化も視野に入れているという。
披露される曲目は「ハンガリー狂詩曲」(干野・金子)、「巡礼の年」(揚原・津嶋)、「死の舞踏」(高田)などリスト中心で、リゲティの歌曲(志茂、ソプラノの内藤稚子と共演)や、シューベルト歌曲のリストによるトランスクリプション(干野)も登場する。ハンガリーの伝統が誇る音楽的構築力や華麗なるピアニズムの諸相が、この一夜を通してたっぷりと伝えられることになるだろう。ブダペストにあるリスト音楽院の長年の改装工事が昨年終了したタイミングとも一致し、同地での学びを希望する若者たちを触発することにもなりそうだ。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年6月号から)
6/13(土)19:00 トッパンホール
問:カワイ音楽振興会03-5485-8511
http://kawai-kmf.com