今年6月から9月にかけて開催された第22回東京音楽コンクール。3部門の優勝者がソリストを務める「優勝者コンサート」が2025年1月13日に東京文化会館でひらかれる。共演は高関健指揮の読売日本交響楽団。
声楽部門の第1位・聴衆賞はソプラノの小川栞奈(かんな)。筆者は本選を聴いたが、まさに彼女は一際抜きん出ていた。澄んだ美しい声で、高音も見事に決めていたベッリーニの《夢遊病の女》より〈ああ、信じられないわ〉が特に印象に残っているが、優勝者コンサートで再び同曲が取り上げられるのがうれしい。また、新春にふさわしいヨハン・シュトラウスⅡ世の「春の声」も楽しみだ。小川は、この12月の藤沢市民オペラの《魔笛》では夜の女王を、来年3月のびわ湖ホールでは《死の都》のユリエッテを歌うなど、新進気鋭の歌手として大いに期待されている。
金管部門の第1位・聴衆賞はトランペットの東川理恩。現在、東京音楽大学大学院に在籍している彼女が、ドイツ出身で19世紀末から20世紀前半にかけてロシアで活躍したトランペット奏者・作曲家のオスカー・ベーメのロマンティックなトランペット協奏曲を披露するのには注目だ。
弦楽部門の第1位・聴衆賞はヴァイオリンの金子芽以。2021年、全日本学生音楽コンクール高校の部全国大会で第1位となった彼女は、現在、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマ・コースの2年在籍中。メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲でフレッシュな演奏を聴かせてくれるに違いない。
文:山田治生
(ぶらあぼ2024年12月号より)
第22回 東京音楽コンクール 優勝者コンサート
2025.1/13(月・祝)15:00 東京文化会館
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650
https://www.t-bunka.jp