ドイツを代表するヴァイオリニストの一人である、コリヤ・ブラッハーが神奈川フィルに客演し、弾き振り及び指揮を披露する。ブラッハーは、1963年、ベルリン生まれ。ジュリアード音楽院でドロシー・ディレイに、ザルツブルクでシャーンドル・ヴェーグに師事。1993年から99年までベルリン・フィルのコンサートマスターを務め、アバド&ベルリン・フィルとヒンデミットの協奏曲も録音。その後はソリストとして活躍。アバドからの信頼が厚く、彼が晩年に音楽監督だったルツェルン祝祭管弦楽団でもコンサートマスターを務めた。現在は、ハンス・アイスラー音楽大学教授として後進の指導にもあたり、門下生には金川真弓もいる。また、彼の父は20世紀ドイツを代表する作曲家の一人であるボリス・ブラッハーであり、ボリスの残したヴァイオリン協奏曲を録音したほか、2025年4月に日本フィルでも演奏する。
1月の神奈川フィルの定期演奏会では、まず、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を弾き振りする。カデンツァはベートーヴェン自身のピアノ編曲版をヴァイオリンにアレンジし直したものを演奏。ドイツの伝統のなかで育ったブラッハーが正統的なベートーヴェンを聴かせてくれることだろう。彼は近年、指揮活動にも取り組んでいるが、日本で披露するのは初めて。オーケストラでの経験も豊かなコリヤ・ブラッハーがチャイコフスキーの交響曲第5番でどんなタクトさばきをみせるのか興味津々である。
文:山田治生
(ぶらあぼ2024年11月号より)
コリヤ・ブラッハー(ヴァイオリン/指揮) 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
みなとみらいシリーズ定期演奏会 第401回
2025.1/18(土)14:00 横浜みなとみらいホール
問:神奈川フィル・チケットサービス045-226-5107
https://www.kanaphil.or.jp