カピバラ・ピアノ・クァルテット、動物の名を冠したユニークな俊英たちが凱旋!

©Anton Spronk

 2023年に開かれた大阪国際室内楽コンクール・第2部門で第1位を獲得したカピバラ・ピアノ・クァルテットが今年11月、「グランプリ・コンサート2024」として、大阪・住友生命いずみホールを含む全国11ヵ所で公演を行う。ピアノ三重奏/四重奏を対象とするこの部門でピアノ四重奏団が優勝したのは同コンクール史上、初めてであり、注目を浴びた。とりわけファイナルで演奏したブラームスのピアノ四重奏曲第3番では、生き生きとした表現力と精緻なアンサンブルが見事に融合していた。

 ソリストとしても室内楽奏者としても優秀なメンバーが集まった国際色豊かなグループ。ピアノのマリオ・ヘリングは故ラルス・フォークトの愛弟子で、リーズ国際ピアノ・コンクールの入賞者。母は日本人。ヴァイオリンの岡田脩一はボルドー生まれ、パリ国立高等音楽院で学んだ逸材。アムステルダム育ちのヴィオラの近衞剛大は、近衞秀麿のひ孫。チェロのミンジョン・キムは韓国出身、クロンベルク・アカデミー等で学んだ。弦楽器の3人は小澤征爾国際アカデミー出身。

 そして気になる名前の由来だが、カピバラを選んだのは、4人とも好きな動物で温和なイメージを持つことと、特定の作曲家やレパートリーに縛られない名前だからだそう。

 大阪公演のプログラムはマーラー、メンデルスゾーンの第2番、シュニトケ、そしてコンクールで弾いたブラームスの第3番と意欲的だ。とくにシュニトケ(1988年)は、マーラーの未完の楽章に基づいているので、2曲を一緒に聴けるのは貴重な機会である。
文:後藤菜穂子
(ぶらあぼ2024年10月号より)

グランプリ・コンサート2024 カピバラ・ピアノ・クァルテット
2024.11/11(月)19:00 大阪/住友生命いずみホール
問:日本室内楽振興財団06‐6947‐2184
https://jcmf.or.jp

他公演
2024.11/17(日) トッパンホール(日本テレビ小鳩文化事業団03-5259-5533) 他
※全国ツアーの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。