日本を代表するバレエ団やダンサーがカンパニーの枠を越えて集結。古典から現代作品まで、さまざまな作品を一挙に観ることができる稀有な公演である。4回目となる今回は、4つのカンパニーが出演、それぞれの個性が最も際立つ作品でバレエ芸術の粋を披露する。
下村由理恵バレエアンサンブルは『カルメン』(抜粋)を上演。女優のような演技も魅力的な下村由理恵が激しく情熱を燃やすカルメンをドラマティックに演じる。新国立劇場バレエ団は、昨年11月に上演した新制作版『眠れる森の美女』から第3幕を披露。古典の名作ならではの様式美が随所に詰まった演目である。新潟を拠点に活動するNoism1は新作『supernova』をお披露目、切れ味鋭い最先端のコンテンポラリー作品で躍動する肉体の美しさを魅せる。『パキータ』を上演するのは牧阿佐美バレヱ団。華麗なクラシックテクニックを存分に楽しめる煌びやかな作品だ。
この公演の特に素晴らしいところは、演目ごとに専用の装置がきちんと組まれる点である。こうした配慮は通常のガラ公演では珍しい。各カンパニーの持ち時間も長く、じっくりと作品を味わうことができるのだ。また通常、録音した音源を使用する作品も、すべて東京フィルハーモニー交響楽団(指揮:園田隆一郎)による生演奏で上演されるのも嬉しい。総合芸術としてのバレエ本来の形を存分に堪能できるのだ。多彩な作品に酔いしれることができる一夜限りの“夢の饗宴”。見逃せない。
文:石村紀子
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年3月号から)
3/28(土)17:00 NHKホール
問:ハローダイヤル03-5777-8600
http://www.nhk-p.co.jp