キリシタン大名を描いたミヒャエル・ハイドンの音楽劇を東京藝術大学が復活上演!

 東京藝術大学がなにやら面白そうな公演を企画している。有名なハイドンの弟であるミヒャエル・ハイドンがザルツブルクで上演した音楽舞台劇《ティトゥス・ウコンドン、不屈のキリスト教徒》(1770/74)を、完全なかたちとしては250年ぶりに復活上演するというのだ。この「ウコンドン」という言葉の響きに引っかかるひともいるかもしれない。実はこの作品、日本のキリシタン大名・高山右近らをモデルにした「日本劇」と呼ばれるものなのだ。登場人物には、秀吉と家康がモデルの「ショーグンサマ」をはじめ、日本語の響きがたくさん漂っている。

左より:小泉将臣/伊藤キム/朝岡聡

 なぜ、日本が鎖国しているときに日本をテーマにした作品を、と思われるかもしれない。実は、17世紀から19世紀初頭にかけての欧州では日本におけるキリスト教信仰をテーマにした演劇作品が150以上も作られている。布教活動が目的だった。東洋にこんなにも熱心に信仰しているひとびとがいる、と。

 さらに興味深いのは、ミヒャエルの同僚で友人でもあったモーツァルトが、この作品を通して、日本という国を知っていたのではないか、ということである。

左より:戸田薫/中山美紀(c)Martin Chiang/布施砂丘彦(c)Martin Chiang

 構成・演出を担当するのは、ここ数年ミヒャエル作品の普及に尽力しているコントラバス奏者で音楽批評家の布施砂丘彦。藝大生による古楽オーケストラと合唱を率いるのは教員の戸田薫(バロック・ヴァイオリン)と卒業生の中山美紀(ソプラノ)だ。ダンスの伊藤キム、司会の朝岡聡、そして俳優は小泉将臣(俳優座)ら10名以上が出演。豪華メンバーによる記念すべき復活上演に胸が高まる。
文:砂岡弦

藝大プロジェクト2024 第1回「西洋音楽が見た日本」
2024.10/20(日)15:00 東京藝術大学奏楽堂
問:東京藝術大学演奏藝術センター050-5525-2300
https://www.geidai.ac.jp