5年ぶりとなる英国ロイヤル・オペラ(ROH)の日本公演が6月22日、神奈川県民ホールで開幕した。先に行われた《リゴレット》の舞台稽古を取材した。
(2024.6/20 神奈川県民ホール 写真:寺司正彦)
22年もの長きにわたり音楽監督を務め、今シーズンで退任するアントニオ・パッパーノが率いての最後のツアーが、奇しくも日本の地で行われる。演目は、2021年初演のヴェルディ《リゴレット》(オリヴァー・ミアーズ演出)と、ROHが誇る人気プロダクションのプッチーニ《トゥーランドット》(1984年初演)。パッパーノは、この2演目について記者会見で「最高のコンビネーション」と語っている。
《リゴレット》の舞台稽古では、いわゆる通常のゲネプロ(最終総稽古)とは異なり、オーケストラと歌手の演奏を止めて繰り返し稽古したり、サウンドチェックでは特に、合唱、バンダなどとの掛け合いを何度も調整したりと、パッパーノのこだわりを感じられた。演出のオリヴァー・ミアーズ(ROHオペラ・ディレクター)は、《リゴレット》について記者会見で「火花が散るような素晴らしい舞台」と語っており、全体に歴史上の美術作品を模した演出は、これこそ総合芸術の域と感じる。
ハヴィエル・カマレナ(マントヴァ公爵)、エティエンヌ・デュピュイ(リゴレット)はもとよりすばらしく、ネイディーン・シエラ(ジルダ)は声を温存するため要所要所の歌唱に留まったが、いざ一声出すと舞台全体の空気が一変するほどで、その素晴らしさには驚きを禁じ得ない。
英国ロイヤル・オペラ日本公演は7月2日まで。音楽監督パッパーノが描くROHとの集大成を目の当たりにしたい。
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【Information】
英国ロイヤル・オペラ 2024年日本公演
ヴェルディ《リゴレット》
6/22(土)15:00、6/25(火)13:00 神奈川県民ホール
6/28(金)18:30、6/30(日)15:00 NHKホール
指揮:アントニオ・パッパーノ 演出:オリヴァー・ミアーズ
出演:ハヴィエル・カマレナ(マントヴァ公爵)、エティエンヌ・デュピュイ(リゴレット)、ネイディーン・シエラ(ジルダ) 他
プッチーニ《トゥーランドット》
6/23(日)15:00、6/26(水)18:30、6/29(土)15:00、7/2(火)15:00 東京文化会館
指揮:アントニオ・パッパーノ 演出:アンドレイ・セルバン
出演:マイダ・フンデリング(6/23, 6/26)、エヴァ・プウォンカ(6/29、7/2)(以上トゥーランドット姫)、ブライアン・ジェイド(カラフ)、マサバネ・セシリア・ラングワナシャ(リュー) 他
演奏:ロイヤル・オペラハウス管弦楽団
合唱:ロイヤル・オペラ合唱団
問:NBSチケットセンター03-3791-8888
https://www.nbs.or.jp