グリーグ国際ピアノコンクールをはじめ8つの国際コンクールで優勝し、内外で活躍している俊英のデビュー・アルバム。まずは、「変奏曲」をメインテーマにした筋の通った構成と、シューマンの「謝肉祭」を軸に据えた意欲的な選曲が光っている。演奏はどれも生気とニュアンスに富んでいるし、テーマである「変化、変遷」が巧みに表現されている点、さらには強靭さと優しさや温かさを兼ね備えている点に非凡さが窺える。優勝コンクールゆかりのグリーグ2曲は当然力の入った好演。大曲「謝肉祭」や多彩なチャイコフスキーの「主題と変奏」も聴き応え十分だ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2024年6月号より)
【information】
CD『Metamorphose/髙木竜馬』
ラフマニノフ:幻想的小品集より前奏曲「鐘」、「パガニーニの主題による狂詩曲」より第18変奏曲(江口玲編)/チャイコフスキー:6つの小品より「主題と変奏」/グリーグ:抒情小曲集より「夜想曲」「トロルハウゲンの婚礼の日」/シューマン:謝肉祭 他
髙木竜馬(ピアノ)
イープラスミュージック
em-0036 ¥3000(税込)