レジェンドが贈る楽都ウィーンの妙なるサウンド
豊田市コンサートホールの新年度の主催公演中、ことに目を引く独自企画が、約9年ぶりに復活する「ウィーン&ベルリン室内楽シリーズ」である。二大オーケストラの都市にちなむアーティストが登場するシリーズで、その第1回はライナー・キュッヒル。45年もの長きにわたりウィーン・フィルのコンサートマスターを務め続けた、正真正銘のレジェンドというべき存在で、オーケストラで弾いても音が突き抜けてくるほどのパワーと、濃厚極まりない音色は日本でもよく知られている。
今回は名手たちの信頼厚い加藤洋之のピアノとともに、ベートーヴェンの大作「クロイツェル・ソナタ」のほか、チャイコフスキー「なつかしい土地の思い出」「ワルツ・スケルツォ」で歌心と名技を聴かせる。さらに、ウィーン・フィル現役チェロ奏者のベルンハルト・直樹・へーデンボルクをゲストに迎えた、シューマンのピアノ三重奏曲第1番は注目。貴重な3人の組み合わせで、ウィーンの香りあふれるシューマンを満喫できるに違いない。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2024年4月号より)
2024.6/30(日)15:00 豊田市コンサートホール
問:豊田市コンサートホール・能楽堂事務室0565-35-8200
https://www.t-cn.gr.jp