待望の初共演を得意のラヴェル作品で飾る
ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝し、現在もっとも評価が高い若手指揮者・沖澤のどかが、東京シティ・フィルの定期演奏会に初登場する。
プログラムは、シューマンとラヴェル。沖澤は、ドイツとフランスの音楽をレパートリーの中心に据える指揮者だ。しっかりとしたフォルムを与え、適切なバランスで鳴らすドイツ音楽に、色彩も豊かでダイナミックに響くフランス音楽。これらを一つの演奏会で堪能できる絶好の機会でもある。
シューマンのピアノ協奏曲には、黒木雪音をソリストとして迎える。昨年から今年にかけ、数々の国際的なコンクールで上位入賞を果たした、今年大学院を卒業したばかりの24歳だ。磐石の管弦楽をバックに、フレッシュなシューマンを奏でてくれるのではないか。
ラヴェルの「ダフニスとクロエ」第1&2組曲は、若きマエストロの得意曲だ。現在常任指揮者を務める京響との最初の共演でこの曲を取り上げ、その演奏がポスト就任の決め手ともなった。東京シティ・フィルとは、お互いの持ち味がどのように絡み合うのだろうか。
そして、2人の作曲家のあいだに橋を架ける作品も演奏される。ラヴェルのオーケストラ編曲によるシューマンの「謝肉祭」だ。ラヴェルのオーケストラ編曲といえば、ムソルグスキーの「展覧会の絵」がよく知られているが、この曲は4曲しか楽譜が残ってないこともあって、なかなか演奏会では取り上げられない。隠れた名作をこのコンビで聴ける喜び!
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2023年12月号より)
第366回 定期演奏会
2024.1/13(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002
https://www.cityphil.jp