今年82歳の秋山和慶は、ミュージックアドバイザーの日本センチュリー響とも相性がよく、見事なチャイコフスキーを造り上げた。勇壮なファンファーレに続く主部は、実に丁寧に端正に作られる。第2主題のファゴットやチェロも、第3主題のデリケートな表情もとても美しい。コーダの加速にも、楽員一体となった自然な気分の高揚がある。緩徐楽章のオーボエ・ソロは美しく、スケルツォのピチカートの合奏精度も素晴らしい。フィナーレも緻密に作られるが、特に運命のファンファーレ回帰以降は、息もつかせぬ緊張と高揚で、ために溜めた力を一気に爆発させる。実に爽快だ。巨匠の芸を堪能させてくれる。
文:横原千史
(ぶらあぼ2023年12月号より)
【information】
CD『チャイコフスキー:交響曲第4番/秋山和慶&日本センチュリー響』
チャイコフスキー:交響曲第4番
秋山和慶(指揮)
日本センチュリー交響楽団
収録:2022年12月、びわ湖ホール(ライブ)
マイスター・ミュージック
MM-4523 ¥3520(税込)