マラーホフやボニーノがみせる魅惑の舞台
しなやかな脚線美と卓越したバレエ・テクニックでローラン・プティら世界的振付家たちを魅了し、現在は東京バレエ団のスターとして活躍する上野水香。神奈川出身の彼女が、初のプロデュース公演を神奈川県民ホールで行う。
上野の幅広い交流を物語る豪華な参加メンバーの中で、まず注目は、東京バレエ団のアーティスティック・アドバイザーも務めるウラジーミル・マラーホフ。十八番の『白鳥の湖』第2幕を吉岡美佳と踊るほか、シディ・ラルビ・シェルカウイ振付の『イカロス』を日本初披露する。1月にベルリンで初演し話題を呼んだソロ作品である。ルイジ・ボニーノは、プログラム中の4作を占めるプティ作品の2つに出演。『シャルロ』ではソロを、上野と組む『チーク・トゥ・チーク』では、おなじみの茶目っ気のある表情と軽快なステップをジャズの響きに乗せて、たっぷり見せてくれるはずだ。ダンサーとして最高に輝く時期を迎えた上野とボニーノ。プティのエスプリを受け継ぐ2人が生み出す、お洒落な大人の世界に期待がふくらむ。
柄本弾、沖香菜子、松野乃知、木村和夫ら、東京バレエ団で活躍するダンサーたちも多数出演。『パリの炎』『ドン・キホーテ』などの有名パ・ド・ドゥが観られるのはもちろん、高岸直樹や元東京バレエ団の高橋竜太が新作振付を提供するなど、内容は多彩だ。まさに宝石箱のような公演を楽しみに待ちたい。
文:新藤弘子
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年12月号から)
11/29(土)15:00 神奈川県民ホール
問:チケットかながわ0570-015-415
http://www.kanagawa-kenminhall.com