ヴァイオリン音楽の新しい扉が開かれた18世紀パリの輝き
イタリアで学んだヴィルトゥオジティを活かしつつ、フランス人特有の優雅さを纏わせた「知的で精巧なソナタと優雅なヴァイオリン演奏」で全欧州に名を馳せながらも、最期は何者かの手によって刺殺されたバロックの巨匠、ジャン=マリー・ルクレール(1697-1764)。川原千真(バロック・ヴァイオリン)と加久間朋子(チェンバロ)による「ルクレール・ボクー」は、そんな鬼才の手になる作品を中心に、周辺の作曲家による傑作を交えて、バロック時代における「音楽先進地・パリ」の雰囲気を体感できるシリーズだ。
その第6回では、ルクレールの代表作である全4巻のヴァイオリン・ソナタ集の中でも、最後に発表され、特に深い音楽性と高度な技巧を包含した第4巻(全12曲、1743年)から、第1、2、5、3番が軸に。同時代に、やはりヴァイオリニスト兼作曲家として活躍したルイ=ガブリエル・ギユマン(1705-70)のヴァイオリン・ソナタ(op.1-8)や、創意あふれる作風で知られたルイ=クロード・ダカン(1694-1772)の「クラヴサン曲集」からの佳品を併せて味わう。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2023年8月号より)
2023.8/22(火)19:00 としま区民センター(小)
問:ビーフラット・ミュージックプロデュース
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