ヨーン・ストルゴーズ(指揮) 東京都交響楽団

同郷のマエストロ&ソリストで実現するオール・フィンランド・プログラム

 フィンランド出身の二人、指揮者のヨーン・ストルゴーズと、ヴァイオリニスト、指揮者、作曲家でもあるペッカ・クーシストが都響定期に登場し、自国の作品、シベリウス「カレリア序曲」「ヴァイオリン協奏曲」とマデトヤ「交響曲第2番」を演奏する。

 ストルゴーズは2008年から15年までヘルシンキ・フィルの首席指揮者を務め、2012年からBBCフィルの首席客演指揮者に就任した。18年読響に客演した際に聴いたが、スケールの大きいダイナミックかつ繊細な指揮で、弦をよく歌わせる点は、スウェーデン放送響のコンサートマスターだった経歴を感じさせた。クーシストは1995年、フィンランド人として初めてシベリウス国際ヴァイオリン・コンクールで優勝し、特別賞も授与された。同曲のCDは「力強く、情熱的な演奏。緊迫感と集中力に疑いの余地はない」とグラモフォン誌で絶賛された。

 今回注目したいのはマデトヤ(1887〜1947)の交響曲第2番。シベリウスに師事。パリ、ウィーン、ベルリンでも学び多様な作風を身につけた。作品にはフィンランド内戦で兄を失ったマデトヤの悲しみが反映されている。3つの交響曲の中でもっとも劇的で、重厚かつロマンティック。最初の2つの楽章は、不吉なクライマックス以外は、叙情的で牧歌的ですらある。第3楽章は、戦争を彷彿とさせる攻撃的な行進曲。終楽章は諦観に満ちている。

 ストルゴーズは、ヘルシンキ・フィルとともにマデトヤの交響曲全集を完成させており、第一人者として自信に満ちた指揮で聴かせることだろう。
文:長谷川京介
(ぶらあぼ2023年1月号より)

第966回 定期演奏会Aシリーズ 
2023.1/20(金)19:00 東京文化会館
問:都響ガイド0570-056-057 
https://www.tmso.or.jp