『レコード芸術』で特選を獲得したジュリアーニ作品集に次ぐ荒井一穂の2ndアルバムは、カステルヌオーヴォ=テデスコ、ポンセ、ホセのソナタ—いずれも難曲として知られる—を並べるという実に挑戦的なものだが、その出来栄えは全く瞠目に値する。技術的な意味で一分の隙もないであろうことは予め想像がついたが、称賛すべきはキャラクターの異なるそれぞれの作品の性格を実に鮮明に表現し得ている点だ。カステルヌオーヴォ=テデスコの近代的な書法による響きの斬新さ、より伝統的で抒情的なポンセの親密な表現、そしてホセにおける「仕組まれた粗野」さ。ギターファンのみならず必聴!
文:藤原聡
(ぶらあぼ2023年1月号より)
【information】
SACD『20世紀のギターソナタ集/荒井一穂』
カステルヌオーヴォ=テデスコ:ソナタ ニ長調「ボッケリーニを讃えて」/ポンセ:ソナタ・ロマンティカ「シューベルトを讃えて」/ホセ:ソナタ
荒井一穂(ギター)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00794 ¥3520(税込)