弦楽四重奏に求められる「すべて」を備えたグループ
早いもので結成から今年で12年目。ヴィオラのタベア・ツィンマーマン、チェロのジャン=ギアン・ケラスら、欧州を代表する4人の名手で構成されるアルカント・カルテットは、強靭で柔軟、怜悧で感性豊か…と、弦楽四重奏に求められる「すべて」を備えた集団だ。世界各地で公演を行い、録音もコンスタントに発表するなど、常に多方面から注目を集め、輝きを放ち続けている。
今秋の王子ホール公演は、2012年にも好評を博した、2日連続コンサート。第1日は、ベートーヴェン「セリオーソ」、スメタナ「わが生涯より」、シューマンの四重奏曲という、充実した合奏能力と高揚感が求められる3曲。コントラストが強く、ダイナミズムに溢れた秀演を期待しよう。続く第2日は、ベルク「抒情組曲」とハイドン「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」を対置。古典と現代を精妙に対比しながら、同時にそれらを自然な流れの中に描き出した、現代最高の解釈をまざまざと見せつける。
文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ 2014年5月号から)
9月26日(金)、27日(土) 王子ホール
問:王子ホールチケットセンター 03-3567-9990
https://www.ojihall.jp