新シリーズのスタートは、旧友2人のスリリングなアンサンブルで華やかに
21世紀の文京区のまちづくりの核となり、強い存在感を放つ文京シビックセンター。大・小二つある音楽ホールは多くのアーティストが名演を繰り広げ、文化の拠点として注目を集めている。現在は改修工事のために休館中だが、この秋、小ホールから公演が再開されることになった。そのリニューアル・オープンにふさわしい、新たな企画も行われる。平日のお昼前(11時開演)に開催される「昼クラシック」だ。これはクラシックの名曲と楽しいトークを楽しめる「夜クラシック」シリーズの“昼”バージョンと言えるもの。
その第1回は2台ピアノによる優雅なコンサート。登場するのは、共にパリ国立高等音楽院で学んだピアニストである岡田奏と鈴木隆太郎だ。国際的な活動も目覚ましい二人は、13年来の友人であり、互いの音楽に強いリスペクトを抱いている。今回は、フランスのエスプリに溢れたラヴェルの「マ・メール・ロワ」をはじめ、留学時代の思い出がつまった作品だというラフマニノフの「2台のピアノのための組曲第2番」、“2台ピアノといえばこの曲”というモーツァルトの傑作「2台のピアノのためのソナタ」を演奏。両者の掛け合いなどダイナミックなアンサンブルの魅力を存分に楽しめるプログラムを届けてくれる。さらに、それぞれの個性とピアニズムを味わえるソロもプログラミング。同じパリで学びながらもまったく異なる輝きを放つ岡田と鈴木の共演は、リニューアル後のホールを美しく彩ることであろう。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2022年9月号より)
2022.10/21(金)11:00 文京シビックホール(小)【配信あり】
問:シビックチケット03-5803-1111
https://www.b-academy.jp/hall/