sonorium「映像と音楽」 共催シリーズ2016

歌と美しい映像のマリアージュ

 sonoriumは東京・永福町の閑静な住宅街の一角に佇む、理想的な音響とモダンでありながら温かな雰囲気を兼ね備えた小ホール。ここを舞台に2010年から選考企画7作品に共催補助金を提供して、2月~7月の期間に開催されている『映像と音楽』は、ステージ後ろの高さ6メートルの白壁をスクリーンとして美しい映像を投影し、質の高い演奏と共に楽しむシリーズ公演で、今までになかった“新しい演奏会”として、聴衆から高い支持を得ている。
 7年目の2016年は、バリトンの井上雅人のリサイタル2公演(2/28)で幕開けする。山形県出身、東京芸大を経てフィンランドで歌曲などを学んだ井上。二期会などオペラの他、宗教声楽曲などでも名唱を披露し、15年3月にはデビュー10周年を迎えた。今回のピアノは活躍中の小瀧俊治。第1部では、舞台写真などをバックに、ベッリーニ《清教徒》から〈ああ永遠に君を失った〉(昼の部)やワーグナー《タンホイザー》から〈夕星の歌〉(夜の部)など名アリアをソロで歌うほか、盟友であるバスのジョン・ハオ(昼の部)やテノールの村上公太(夜の部)をゲストに迎えて、重唱も披露。第2部はソプラノの金持亜実らと共に、プッチーニ《トスカ》の名場面を、オペラセットさながらの映像とともに演じる。
 今年の同シリーズではこのほか、新垣隆らの出演による『音絵本 vol.3』(3/ 19)やコンポーザー・ピアニスト中村天平による『Vision』(4/9)、ヴァイオリン中澤万紀子とナビゲーターのユニットによる『STAGE』(5/14)、ピアノ中山久美とチェロによる『藍 ai の刻』(6/ 18)、ピアノ水永亜実子とステンドグラス作家の饗宴(7/2)、フルート高橋詩織の『琴線に響く心の音楽物語』(7/30)と7企画が決定している。
文:笹田和人
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年2月号から)

井上雅人バリトンリサイタル
2/28(日)14:00 18:00 sonorium
問:sonorium 03-6768-3000

他のシリーズ公演
3/19(土) 音絵本 vol.3、4/9(土) 天平ピアノコンサート『Vision』、5/14(土) STAGE 5.14 sonorium、6/18(土) oblivion vol.3~藍 ai の刻~、7/2(土) Ami & Ali ピアノとステンドグラスの饗宴『音の形、色の響き』、7/30(土) CDリリース記念 『琴線に響く心の音楽物語』
http://www.sonorium.jp