期待の若手とベテランがつくり出す新しいファンタジー
関西圏には、ピリリとスパイスの効いた公演を企画するバレエ団が少なくない。大阪府堺市の野間バレエ団もその一つ。1991年の創団以来、同地にバレエを根付かせるべく、初心者向けの公演から意欲的な創作バレエまで、種々の公演を実施してきた、地元愛溢れるバレエ団なのだ。
今季のハイライトとして上演するのは、年末の風物詩である『くるみ割り人形』。クリスマスの夜に少女クララが見る夢を描いたファンタジックな古典作品である。
演出・振付は、新国立劇場の開場以来のメンバーにして、野間バレエ団の常連ゲストでもある山本隆之。彼が全幕作品を手がけるのは初めてだが、数々の作品に主演し、最近は悪役や老け役など、ますます多彩な役柄を持ち役にする熟達者とあって、その経験値がどう反映されるのか、興味深い。
女性主役である金平糖の精を演じるのは、団長の野間康子と共に同団を牽引している野間景。美しいスタイルを活かして、可憐な少女から姫君まで、多様な役を踊ってきたバレリーナである。
クララ役の荒瀬結記子は、カンヌの名門ロゼラ・ハイタワー・バレエスクールに留学、神戸や大阪などのコンクールで上位入賞を果たした、期待の若手だ。
男性の主要パートを務めるのは、主に関西圏から参集するゲストの面々。王子役には爽やかな貴公子ダンサー、碓氷悠太を起用、クララをお菓子の国に誘う紳士ドロッセルマイヤーを山本が自ら演じるほか、後藤晴雄、恵谷彰、末原雅広等の実力派が脇を固める。
文:上野房子
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年11月号から)
11/1(日)17:00 ソフィア・堺ホール
問:野間バレエ団072-255-7880
http://www.noma-ballet.com