いまこそ悲恋のストーリーが心に響く
豊かな自然に囲まれて佇むハーモニーホール座間を舞台に続けられてきた、市民参加型のオペラの上演。今年は、ヴェルディの傑作群の中にあって、巧みな心理描写でオペラファンを魅了する悲恋物語の真髄《椿姫》が披露される。
キャストは、田中絵里加(ヴィオレッタ)、宮里直樹(アルフレード)ら実力派揃い。脳卒中を乗り越え復活を遂げた古川寛泰が演出を担当する。瀬山智博が指揮する、オペラのスペシャリスト集団、テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラがバックアップ。合唱ワークショップで練習を重ねたアマチュアたちも、プロの歌い手やスタッフとともに、舞台創りへ参加する。
《愛の妙薬》《トスカ》と、質の高い舞台で好評を得てきた企画だが、昨年はコロナ禍で中止に。それだけに、関係者が当公演に寄せる想いはひとしお。物語の背景となる結核の流行を今の時世へと投影し、「偉大な芸術家達が紡いできたように、我々も作者達が望んだ表現の本質を捉え、舞台を再現します」(古川)と意気込んでいる。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2021年8月号より)
2021.9/5(日)14:00 ハーモニーホール座間【チケット完売】
問:ハーモニーホール座間046-255-1100
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