周防亮介(ヴァイオリン) パガニーニ & シャリーノ、2つのカプリース

超絶技巧で魅せる、2つの難曲への挑戦

(C)TAKUMI JUN

 緻密な技巧と高い音楽性で注目を浴びる、ヴァイオリンの俊英・周防亮介。19世紀を代表するヴィルトゥオーゾ、パガニーニそして現代の鬼才シャリーノ、2人のイタリアの大家による難曲「カプリース」へ対峙する、意欲的な無伴奏リサイタルをトッパンホールで開く。

 1995年、京都府生まれ。名匠マキシム・ヴェンゲーロフの薫陶を受け、2016年のヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクールで入賞した周防。今年4月にトッパンホールに出演し、その圧倒的な名演に再登場を望む声が多数寄せられ、当公演に繋がったという。

 「カプリッチョ」は、諧謔的で気まぐれな性格の器楽曲を指す。パガニーニ自ら発展させた超絶技巧が盛り込まれ、無伴奏ヴァイオリン作品の金字塔のひとつとされる「24のカプリース」。かたや、シャリーノの「6つのカプリース」は、フラジオレットの連続からの重音やポルタメントなど、現代的な超絶技巧に彩られた難曲だ。

 2つの難曲を一夜にして弾き切る、壮大なる挑戦。「周防さんなら、これらの難曲をただ弾きこなすだけでなく、音楽的に表現できるはず」とのホール側からのオファーに、「コロナ禍で、以前よりも準備の時間が取れる、今のタイミングなら…」と周防は応じたという。

 「音楽だからこそ、救えるものがある。言葉以上に、人の心に伝わる場面もある。とても神聖な存在です。それを伝える者として、1人でも多くの人に、その素晴らしさを届けたい」とかつて語っていた周防。災禍にある今だからこそ、心に沁みる名演を聴かせてくれるはず。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2021年7月号より)

2021.8/6(金)19:00 トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 
https://www.toppanhall.com