【CD】バッハ・ピアノ・トランスクリプションズ /福間洸太朗

 気鋭の実力者・福間洸太朗が、10人の編曲によるバッハ作品を収録したアルバム。コロナ禍における癒しも込められており、特に安らかな楽曲が続く前半は、慈しむような表現が心に染みる。だが、サン=サーンス編「シンフォニア」やリスト編「前奏曲とフーガ」では鮮やかなダイナミズム、ブラームス編「シャコンヌ」では丹念な演奏で自然な高揚感を生み出すなど、内容は多彩。福間編の「マタイ」のアリアもしみじみと美しく、ダルベール編「パッサカリアとフーガ」も聴き応え十分だ。バッハの“ピアノ音楽”に改めて魅せられ、まさしく心も癒される、お薦めの一枚。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2021年7月号より)

【information】
CD『バッハ・ピアノ・トランスクリプションズ /福間洸太朗

J.S.バッハ:コラール「目覚めよ、と呼ぶ声あり」(ブゾーニ編)、シンフォニア(序曲)〜カンタータ「神よ、われら汝に感謝す」(サン=サーンス編)、前奏曲とフーガ イ短調(リスト編)、シャコンヌ(ブラームス編)、アリア「憐れみ給え、わが神よ」〜マタイ受難曲より(福間洸太朗編)、パッサカリアとフーガ(ダルベール編) 他

福間洸太朗(ピアノ)

ナクソス・ジャパン
NYCC-27313 ¥2750(税込)