【CD】プーランク ヴァイオリン・ソナタ/佐原敦子&山田武彦

 クァルテット・レオーネによる、さる現代作品をフィーチャーした鮮烈なアルバムは、筆者にとって未知の団体であったがゆえに一層深く印象に残ったのだが、そこでトップを弾いていたのが佐原敦子。本盤のキレ味にも得心した。全体的にアップテンポで攻める山田武彦のピアノに、生き生きと応答する中から彼女の個性が浮かび上がってくる。それはプーランクではほんのりとした色気、ベートーヴェンでは気高い力強さ、アルベニスでは愉し気な懐古調となって音楽に生気を与える。ライフワークとして取り組んでいるユリウス・レントヘンは、ロマン派後期から今世紀にかけて活躍した作曲家。彼の無伴奏曲も佳作だ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2021年7月号より)

【information】
CD『プーランク ヴァイオリン・ソナタ/佐原敦子&山田武彦』

プーランク:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ/レントヘン:無伴奏ヴァイオリンのためのファンタジー/ベートーヴェン:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第9番「クロイツェル」/アルベニス(クライスラー編):スペイン 第2曲 タンゴ

佐原敦子(ヴァイオリン)
山田武彦(ピアノ)

BRAVO Records
BRAVO-10001 ¥3300(税込)