この写真だけで言葉はいらないかもしれない。
5月27日、ミューザ川崎シンフォニーホールで行われた東京交響楽団 特別演奏会でのこと。昨年末の第九演奏会以来となる音楽監督ジョナサン・ノットの待機期間を経ての最終公演。前半がベルク「室内協奏曲-ピアノ、ヴァイオリンと13管楽器のための」、そして後半がマーラー「交響曲 第1番 『巨人』」という彼らしいプログラム。前半から客席のテンションは高く長いカーテンコールとなった。そして迎えた後半、ノットの自在なタクトのもと、コンサートマスターの水谷も、要所では椅子から立ち上がらんばかりのリードを見せ、東響メンバー全員の集中力溢れる熱演となった。まさにオーケストラと客席が一体となった空間だ。
終演の一瞬の静寂の後、割れんばかりの拍手とともにスタンディングオベーションとなる。ノットは何度か、舞台から下がったのち、一枚の白い布を手にしてステージに戻った。広げるとそこには、「I’m Home! ただいま」の文字が。再び、凄まじい拍手。オーケストラのメンバーが下がり始めた後も拍手は鳴り止まず、再度ノットがステージに。今度、手にしていたバナーには「Thank You ありがとう」と書かれていた。
昨年、唯一来日することができた年末の第九公演のときに、聴衆の1人が「Welcome Homeおかえりなさい」というメッセージを掲げていたという。それに感動したノットは、
「Welcome homeって本当に素敵な言葉だと思う。自分も(聴衆に向けて)バナーをしたい!」
と事務局に相談し、今回バナーを準備したという。
今、声を発するのが難しい状況の中で、彼の想いは十分すぎるほど伝わってきた。おそらく客席にいたほとんどの人が同じように思ったはず。
「おかえりなさい、マエストロ!また帰って来てね!」
今から次の来日が待ち遠しくてならない。
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東京交響楽団
http://tokyosymphony.jp